高齢の父の脂肪肉腫 術前放射線療法でよいか

回答者・川井 章
国立がん研究センター中央病院希少がんセンター長
発行:2015年2月
更新:2015年5月

  

75歳の父のことで相談します。右太ももに大きなしこりができ、脂肪肉腫との診断でした。転移はありませんが、肉腫の大きさが6~7㎝あり、太ももの大きな静脈や神経に接しているとのことです。主治医から「手術の前に放射線治療をする」と言われましたが、父の年齢を考えて、なるべく負担のない治療法を選びたいと考えています。ほかに選択肢がありましたら教えてください。

(47歳 女性 東京都)

負担が少なく、根治も望める適切な方法

国立がん研究センター中央病院の川井 章さん

脂肪肉腫は組織型の違いによって高分化型、粘液型、多形型、脱分化型の4つのタイプに分けられ、どのタイプかによって再発や転移の頻度が異なります。最も発生頻度が高い高分化型は、比較的予後の良いタイプで、手術だけで完治することが多く、放射線治療を行う必要もありません。ですから、ご相談者のお父さんは、やや悪性度が高い残りの3つのタイプのいずれかであると思われます。

これらのタイプで腫瘍が大きな静脈や神経に接している場合、術後の再発を防ぐために放射線を照射してから手術(あるいは、手術後に放射線を照射)することは、有効な方法であることが知られています。中でも粘液型脂肪肉腫は、放射線感受性が高いので有効な方法と考えられます。

ほかの選択肢としては、血管を合併切除し、自家血管や人工血管を用いて血行再建する方法もありますが、前述した方法よりも負担が大きくなります。術前放射線療法は高齢のお父さんの負担も少なく、根治も望める良い方法ではないかと思います。

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