抗がん剤をタキソールからジェムザールに替えてよいか
62歳の妻のことでご相談します。妻は4年前、左胸に乳がんが見つかり、手術を受けましたが、その後、肺と骨に転移していることがわかりました。再発後はタキソール(一般名パクリタキセル)の治療を続けていましたが、副作用のしびれがひどく、日々の生活に支障をきたすようになってきました。そのことを主治医に相談したところ、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)という薬を勧められました。ジェムザールの点滴治療を受けることで、タキソールの副作用はおさまるのでしょうか。また、効果は期待できるでしょうか。
(福井県 男性 59歳)
A 副作用が比較的少ない。選択肢として十分ある
ジェムザールは今年、乳がん治療に対して承認された代謝拮抗性の抗がん剤です。これまでは主に膵がんや肺がんの治療薬として使われてきました。
ジェムザールは脱毛がなく、吐き気がほとんどないなど、副作用が比較的少ない抗がん剤です。主な副作用は骨髄抑制で、具体的には、白血球の減少がやや強く出ることがあります。発熱、関節痛などの感冒様症状がおきることがあります。ごく稀に重篤な肺障害をおこすことがあります。
また「ジェムザールの点滴治療を受けることで、タキソールの副作用はおさまるか」とお書きですが、タキソールの副作用は、ジェムザールの治療とは無関係です。タキソールの治療をやめることで、タキソールの副作用は徐々におさまります。
ジェムザール単剤での乳がんに対する奏効率は15~40パーセント程度という報告があります。タキソールで現れるようなしびれの副作用は少ないこともあり、ジェムザールに切り替えるのも十分ありうる選択だと思います。