肺転移とリンパ節転移。次の治療法は?
3年前、44歳のときに乳房にしこりを発見し、病院で検査を受けたところ、乳がんとわかりました。大きさは1センチほど、粘液性とのことでした。乳房温存手術を受けて、術後に放射線治療も受けました。ノルバデックスによるホルモン療法も受けました。ところが、術後2年目に、腫瘍マーカーが上昇し、CT画像で肺転移とリンパ節転移が見つかりました。ホルモン療法を再開し、ノルバデックスを3カ月続けたあと、アリミデックスに切り替えました。しかし、手と肩の関節痛に苦しんで、治療を休んでいます。HER2は陰性とのことです。この次には、どんな治療が可能でしょうか。少しでも希望の持てる治療なら試みたいと思います。アドバイスしてください。
(埼玉県 女性 47歳)
A ホルモン剤や他の薬剤による延命と症状緩和を
再発した場合、通常は、まずホルモン剤での治療を行い、ホルモン抵抗性となった場合に抗がん剤治療を行います。
3カ月後、ノルバデックス(一般名タモキシフェン)からアリミデックス(一般名アナストロゾール)に切り替えたとのことですが、その理由がはっきりとわかりません。ノルバデックスが効かなくなったので、アリミデックスに切り替えたのだとすれば、そのままアリミデックスなどのアロマターゼ阻害剤を使い続けるのが適当でしょう。アロマターゼ阻害剤には、アリミデックスのほかに、フェマーラ(一般名レトロゾール)、アロマシン(一般名エキセメスタン)がありますが、関節痛の副作用はどのアロマターゼ阻害剤でも起こります。
切り替えた理由にもよりますが、ノルバデックスに戻すことが可能なら、もう1度、ノルバデックスを使うという方法もあります。そのほうが、関節痛の副作用は減ります。ホルモン剤が無効と判断されれば、抗がん剤治療に切り替えます。
現在、がんの症状が出ておらず、副作用が耐えられないようなら、しばらくの間、何もしないで様子を見るという方法もありえます。がんの症状が出たら、治療を再開します。抗がん剤を用いる場合には、アンスラサイクリン系やタキサン系の薬剤を単剤で逐次投与するのが原則です。
抗がん剤の併用療法だと奏効率は上昇しますが、副作用が増える割に、延命効果はそれほどありません。残念ながら根治は期待できないため、薬剤によって延命と症状緩和をはかっていくことになります。