ステロイド剤の長期投与が心配。どう対応したらよいか
現在、タキソール(一般名パクリタキセル)とハーセプチン(一般名トラスツズマブ)の投与を受けています。肺、リンパ節、脳に転移がありますが、痛みなどの自覚症状はありません。ただ、身体がだるくて息切れがひどかったので、主治医に伝えたところ、ステロイド剤のリンデロン錠(一般名ベタメタゾン)を2錠処方されました。この薬の服用で元気になりましたが、あとで調べてみると長期投与は身体によくないようです。どう対応したらよいのでしょうか。
(愛媛県 女性 56歳)
A まずは症状の原因を突き止めることが重要
身体のだるさ、倦怠感にはステロイド剤が効くと言われています。事実、治療の現場ではステロイド剤がよく使われています。
ただし、ステロイド剤を長期投与すると感染症になりやすく、投与を急にやめると副腎不全が起こったりします。また、倦怠感にステロイド剤が効くという信頼度の高い臨床データが出ていないのも事実です。
そこで、大事なのは、ステロイド剤の使い方よりもあなたの身体のだるさ、倦怠感の原因です。倦怠感は、がんやその治療のときに最もよく起こる症状です。その原因はさまざまです。
米国がん総合ネットワーク(NCCN)のガイドラインでは、倦怠感の主な原因として、貧血、痛み、精神的苦痛、睡眠障害、甲状腺機能低下の5つを取り上げています。その原因が複数の場合もあります。そのため、倦怠感の原因を突き止めて、それに対処することができれば、その症状をかなり軽減することができます。
例えば、血中のヘモグロビン濃度が低下して貧血になると、倦怠感や動悸、息切れなどの症状を起こします。その場合には、その貧血の原因となる病気を探って、それに対する治療を行います。貧血の治療によって、ヘモグロビンの濃度が改善して、倦怠感も軽減します。
ですから、倦怠感の原因を突き止めることが何よりも大切です。主治医によく相談し、倦怠感の原因を診断してもらってください。倦怠感の原因に対してきちんとした治療をすることが最も大事なことだと思います。