骨転移で首がもろくなった。手術を受けるべきか?
母(70歳)を自宅で看護しています。乳がんから骨転移があり、首の骨が非常にもろくなっている状態で、ギプスをはめています。主治医から、弱くなっている部分に補強を入れる手術を勧められていますが、入院や手術をこれ以上させるのはしのびない気持ちもあります。母自身は出歩くのが好きなので、また自由に動き回れるようになるなら手術を受けたいと言っています。現在はアレディアとホルモン剤のアロマシンだけを使っていて、抗がん剤などの治療は受けていません。手術はどの程度、効果が期待できるのでしょうか。
(島根県 男性 39歳)
A 判断基準は、予後をどう考えるかにある
手術を受けるかどうかの判断基準は、予後をどう考えるかにあると思います。
がんの転移が骨だけで、手術を受ければQOL(生活の質)が高まることが予測されるのでしたら、受けたほうがよいでしょう。もしも首の骨を病的に骨折したら、脊髄損傷を起こして、首から下の体がすべて麻痺してしまうおそれがあるからです。
しかし、手術をすれば、首の病的骨折は十分に防ぐことができます。首の骨折の心配がなくなれば、買い物に出かけたり、洗濯したりなど、通常の生活を送ることができるようになるでしょう。
転移が骨以外、たとえば肝臓や肺、脳などにもあるのなら、状況はかなり違ってきます。手術を受けることでQOLが向上するのか、疑問があるからです。また、年齢や病態から余命を考えても、手術を受けるメリットがあるか疑問があります。手術を受けない場合は、現在の治療方針で特に問題はないと思います。
病気の状態をよく確認し、その上でご本人であるお母様の意志を尊重されることが大切だと思います。