食欲が回復しません。どうにか食べさせる方法は?

回答者:岩瀬 哲
キャンサーネットジャパン 科学ディレクター
発行:2004年5月
更新:2013年11月

  

祖母(82歳)は乳がんの末期です。肝臓と骨への転移はあるものの、幸い進行が遅いため、つい最近まで自宅で過ごしていました。急に食欲が落ち、やせてきたので、再び入院させたのですが、食欲はまったく回復しません。病院食は味気ないだろうと家族が好物を作って持っていっても、ほとんど箸を付けません。主治医や看護師さんからも「できるだけ口から食べようね」と言われますが、今は点滴に頼っている状態です。少しでもよいから食べてほしいのですが、無理強いしてはいけないのでしょうか。また、食欲を回復できるような手立てはないのでしょうか。

(静岡県 女性 28歳)

A 医療行為としては、ヒスロンHの投与が食欲増進には期待できる

がんの末期には、食欲減退や体重減少、貧血などの症状を複合的に起こすことがあります。この状態のことを「悪液質」といいます。相談者の祖母の方は、この悪液質になっていると思われます。食欲が出ないのは、ある意味、病気の状態としては「自然なこと」ともいえます。それを無理に食べさせたり、高カロリー輸液(食事のとれない人に栄養分を点滴すること)を行うことは、かえって体に負担をかけます。熱が出たり、むくんだりするなどの作用が出ることがあるのです。本人が食べたいと思ったときに、食べたい物をあげるようにして下さい。一般的には、アイスクリームや杏仁豆腐、シャーベットなど、口当たりのよいものが食べやすいと思います。

医療行為としては、ヒスロンH(一般名メドロキシプロゲステロンアセテート)を投与するのが食欲増進には期待できます。

ヒスロンHはホルモン剤で、乳がんの治療薬ですが、同時に食欲増進の効果があることもわかっています。この方には、がんの進行を抑える効果と食欲増進の二重の効果が期待できます。悪液質の患者さんにも効果を発揮するので、ヒスロンHをまだ使っていないようでしたら、主治医に相談してみるとよいでしょう。

ヒスロンHを投与しても効果が出ない場合は、ご家族が現状を受け入れることが大切だと思います。

当たり前のことですが、人はいつか必ず死にます。永遠の命というものはありません。ご家族がなんとか一口でも食べてほしいと思われる気持ちはわかりますが、末期がんで悪液質になっていることを考えると、無理強いはご本人を苦しめるだけなのです。

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