再発を自分でチェックする方法は?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2013年4月
更新:2014年1月

  

姉(64歳)について質問です。左乳房全摘(リンパ節郭清)後、関節痛や吐き気などの副作用も乗り越え、ホルモン療法(アリミデックス)を終了しました。術後5年もたち、今後の検診スケジュールを聞きましたが、いつまで続くのか……。ただ、姉も私も再発は恐れています。自分で再発をチェックできるような方法があれば、教えてください。

(千葉県 女性 61歳)

A 根気強く検診を受け続けることが大切

補助療法中の患者さんが、再発を恐れるのはもっともなことです。Ⅰ期の患者さんの約1~2割、Ⅱ期の3~4割、Ⅲ期の5割以上が再発するといわれています。乳がんは、他部位のがんよりも晩期再発が多い傾向にあり、ホルモン感受性のある乳がんでは術後10年以上たってからの再発も稀ではありません。自分が努力をすれば再発を防げるということはありません。

日本乳癌学会のガイドラインでは術後3年間3~6カ月毎、その後2年間は6~12カ月毎、5年以降は年1回の問診、視触診を受けることを推奨しています。これとは別に年1回のマンモグラフィ検診も推奨しています。

再発には胸壁や温存乳房内の局所再発、腋窩や鎖骨付近のリンパ節などの領域再発、肺、肝、骨などの遠隔再発があります。局所、領域再発では再度の治療で治癒可能ですが、遠隔再発をきたすと治癒は極めて稀とされています(再発治療10年後に病巣を認めないのは約1%)。

遠隔転移に関しては、早期発見の意義は不明とされています。早く見つけても治癒することがほとんどないからです。そのため、術後のフォローも対側乳がんや温存療法における局所再発をみつけることが主体であり、レントゲン検査、腫瘍マーカー、骨シンチなどの遠隔再発をみつけるための検査は、症状がない場合には不要とされています。

自分でできることは、乳房や胸壁、腋窩や鎖骨上にしこりがないかどうかを触れることです。もしも局所、領域再発の場合には治癒の可能性もあるため、そのようなしこりを見つけた場合には、すぐに病院受診することが勧められます。

アリミデックス=一般名アナストロゾール

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