骨転移に対する放射線治療の効果は?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2013年4月
更新:2014年1月

  

術後3年目に頸椎、胸椎、腰椎の3カ所に骨転移をしました。現在は、アロマターゼ阻害剤によるホルモン療法とゾメタでの治療を継続しています。ただ、胸や腰の痛みが続いているため、放射線治療も受けるよう言われています。しかし、放射線治療は怖くて治療を受けるべきかわかりません。放射線治療の効果や副作用について教えてください。

(福岡県 女性 52歳)

A 骨転移の放射線治療は除痛が主な目的

乳がんの骨転移は、頸椎や胸椎、腰椎、骨盤骨、肋骨、胸骨など血流の豊富な体幹部の骨によく発症します。骨転移の合併症として骨折、痛み、脊髄圧迫による麻痺発生の3つがあります。体重のかかる骨では骨折、胸椎転移では脊髄圧迫への注意が必要です。

骨転移は全身に乳がん細胞が広がっていることを意味するため、全身療法であるホルモン療法や抗がん薬治療が治療の主体になります。また、そこに骨転移の進行を抑える作用のあるゾメタやランマークなどの破骨細胞抑制薬を組み合わせます。痛みがあれば積極的にオピオイド薬を導入して除痛をはかります。

乳がんの骨転移における放射線治療は、ホルモン療法や抗がん薬治療で痛みがとれない場合や骨折、脊髄圧迫などの合併症の予防に行います。放射線治療により骨痛の50~80%は軽減するといわれています。痛みを取り除くことが目的の大部分となりますが、患部に照射することで腫瘍の増殖をコントロールすることもできます。

骨転移の場合、3グレイ×10回の照射が一般的です。これは、腫瘍のコントロールも考えた場合の方法となります。除痛だけのことを考えた場合、1回で終わる8グレイ×1回でも3グレイ×10回と効果に差はありません。骨転移における放射線治療のガイドラインでは、除痛目的の場合、8グレイ×1回を勧めています。しかし、3グレイ×10回の照射が一般的なのは、多少なりとも腫瘍のコントロール効果を考えたうえでのことと、8グレイ×1回の場合、再照射を必要とする場合が多くなるためです。骨以外の部位の転移がなく長期のコントロールを目ざす場合、2グレイ×25回投与も稀に行われます。骨痛の部位が多くある場合、メタストロンによる内照射が除痛目的で行われることもあります。

放射線治療の副作用は、照射した場所によります。頸椎の場合は食道に放射線が少しかかって食道炎や嚥下障害をおこしたり、腰椎の場合は腸にかかるため短期間だけですが下痢になったりすることがあります。吐き気がでる場合もありますが、抗がん薬治療ほど強くはありません。軽い皮膚炎が照射した部位に限られて見られますが、問題にならないことがほとんどです。怖がらずに治療を受けてみてください。

ゾメタ=一般名ゾレドロン酸 ランマーク=一般名デノスマブ グレイ=放射線がものにあたったとき、どれくらいのエネルギーを与えたかを表す単位 メタストロン=一般名ストロンチウム-89

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