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骨転移で、歩行困難。いい治療法はないか

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
(2011年7月)










7年前に左乳房温存手術を受けたものの、2年前に再発。肺、肝臓、多発性骨転移を起こしていて、現在抗がん剤治療を受けています。今1番困っているのは、両足がしびれ、歩行困難になっていることです。3カ月前から右足にふらつきを感じました。その後右側お尻部分の痛みを感じましたが、いつものこと(椎間板ヘルニア傾向ありと以前診断され、時々痛みもありました)だと思い、湿布をしたり、もんだりしていました。ところが1カ月前から何もなかった左足までしびれてきました。両足が重く、足底までしびれているために、ますます歩行が困難になりました。今は何かにつかまらないと歩けない状態です。主治医に相談してMRIを撮ってもらい、整形外科医も紹介してもらいました。その結果、①頸椎、腰椎、胸椎の転移はあるが、圧迫骨折はない②1年前、放射線治療を受けた頸椎に変化はない③しびれは骨転移によるものであり、抗がん剤の治療しかないということでした。しかしその後もしびれは強くなるばかりで、日常生活がとても困難になってきました。そこで、この症状を少しでも改善できるようにと、整骨院に行ったり、ブロック注射をしてくれる整形外科に通ったりしています。今の症状を緩和できる方法を教えていただきたいです。そして次の質問に答えていただきたいです。①整骨院の治療は効果があるのか②腰椎の放射線治療で歩行困難は解消できるのか③骨転移についての専門医はいるのか④抗がん剤治療といわれたが、どんな抗がん剤が骨転移に効くのか。ちなみに現在、タキソテール、シスプラチンゾメタTS-1リリカ、漢方薬および痛み止めを使っています。

(宮崎県 女性 52歳)

A 腰椎への放射線治療や、薬で痛みを和らげる

文面から推察すると、今の症状は、腰椎に転移したがんが神経に浸潤しているか、神経根を圧迫しているため、神経障害が出てしまい、歩行が難しくなっているのだと思います。骨が潰れて神経根が押されているために、神経障害が起きている場合には、整形外科的な手術が考えられます。手術で圧迫が解除できれば、症状が緩和される可能性があります。

ただし、ご相談者の場合、圧迫骨折はないということなので、腫瘍そのものの浸潤による神経障害の可能性が高く、その場合、一般的には手術の適応はなく、腰椎への放射線治療や痛みを和らげる対症薬による治療が考えられます。

では順番に答えていきましょう。

①整骨院での治療についてですが、神経症状を完全に治すという意味では、あまり期待はできません。ただ、患部をマッサージして気持ちがいいということであれば、続けてみるのもいいかと思います。

②腰椎への放射線治療が治療の中心となります。がんの浸潤や圧迫により神経障害を起こしている場合、腫瘍が放射線により縮小すれば、現在の痛みやしびれが、多少なりとも和らぐ可能性はあります。

③骨転移の専門医についてですが、現在とくにそういった標榜を掲げる専門医はいません。基本的に、乳がんによる骨転移は、乳がんを治療する医師が診療するのが一般的です。手術治療の適応が考えられる場合に、整形外科の医師で、骨転移について多く取り扱っている医師に相談することはありますが、そのようなケースはあまり多くはありません。

④抗がん剤で、とくに骨だけに効きやすいという薬剤はありません。一般的に乳がんに効果があるとされる抗がん剤を投与してみて効果があるかどうかを判定することになります。ただ、現在投与されているゾメタは、骨を壊す破骨細胞の働きを抑える薬であり、このまま継続することは、骨転移に対する標準治療です。

対症療法として、神経障害性の疼痛に有効な薬剤投与も行います。現在使われているリリカは、神経障害性の疼痛に対する標準薬の1つです。一般的に神経障害性疼痛にはオピオイド*が効きにくいといわれていますが、併用することもあります。また、ブロック注射も行っているということですが、これも痛みを和らげるといった意味で、効果があると思います。いずれの治療も、残念ながら完全に痛みをとる可能性は低く、ペインクリニックを標榜する医師とも相談するのが良いと思われます。

タキソテール=一般名ドセタキセル シスプラチン=商品名ランダブリプラチン ゾメタ=一般名ゾレドロン酸 TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム リリカ=一般名プレガバリン 

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