乳がんの脳転移、その治療法は?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2012年7月
更新:2014年1月

  

乳がんの4期で最近、脳に8カ所の転移があることがわかりました。どのような治療法があるのでしょうか? 脳に転移があることで不安を感じています。

(東京都 女性 47歳)

A 放射線全脳照射や、抗がん剤治療を

脳転移の数が少数(3個以内)であれば、手術やガンマナイフが適応になりますが、脳への転移が8カ所ある場合は、基本的には放射線による全脳照射が標準治療となります。

非常に大きな腫瘤があって、出血や水頭症など致命的な症状を起こしそうな場合には、まれに手術を選択することもありますが、通常は3グレイを10回照射する全脳照射が行われます。

全脳照射をした後に、再度、腫瘍が増殖してきた場合、脳以外の他部位のコントロール具合や全身状態に応じて治療が行われます。ステロイド投与だけの姑息的治療に終わることもあり、ガンマナイフ、再照射、手術などを行うこともあります。

また、脳は、血液脳関門があるため脳転移には一般的に薬剤が効きにくいとされていますが、腫瘍により血液脳関門が破壊されるため、薬剤が有効なこともあり、全身療法として、抗がん剤のゼローダやHER2陽性の乳がんであれば分子標的剤のタイケルブが使用されることもあります。

ゼローダ=一般名カペシタビン タイケルブ=一般名ラパチニブ

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