術後の痛みが強く、再発が心配
2年前に右乳房のがんがわかり、乳房温存手術を受けました。抗がん剤治療は行わず、放射線治療を受け、現在はホルモン剤のフェマーラ*のみを服用しています。病期は2a、がんの悪性度はクラス1、ホルモン感受性は強で、なおリンパ節転移が2個あり、リンパ節郭清した病理検査の結果、浸潤性乳管がんで他への転移はありませんでした。ここのところ、わきの下が痛み、右胸全体が両手で覆いたくなるような痛みが続いています。これは再発でしょうか?
(京都府 女性 59歳)
A 術後の後遺症と考えられる
外科的な治療を行うと乳房温存、摘出に限らず、何らかの後遺症が発生します。ご相談者のお話を伺うだけでしたら、手術後の後遺症としての痛みによるものである可能性が高いでしょう。今回のようにリンパ節の郭清をした後、わきの下のあたりから、右胸全体が痛む場合の多くは、術後の神経障害である場合が多いようです。
乳がんの再発で、痛みを起すとすれば骨転移が考えられますが、その場合、転移した骨からの痛みがピンポイントで発生することが多く、胸全体が痛むようなケースは稀です。ですから、今回のような痛みはおそらく、術後の後遺症であると考えられ、それほど心配する必要はないと思います。
どうしても心配な場合は、念のため骨シンチグラフィや腫瘍マーカーなどで、骨への転移の有無を改めて調べても良いでしょう。ただし骨シンチ検査では偽陽性、腫瘍マーカーでは偽陰性となることもあり、臨床症状とあわせて判断する必要があります。転移による痛みは進行性であることが、他の原因の痛みとの重要な鑑別点となります。
また、神経障害と判断された場合、痛みがひどい場合は、リリカ*などの薬剤を使用して症状緩和をはかることもあります。
*フェマーラ=一般名レトロゾール *リリカ=一般名プレガバリン