温存術後の再発。治療方法は?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2013年6月
更新:2014年1月

  

ueno[3]

1年前、浸潤性乳がん(Ⅰ期)で乳房温存手術をし、放射線治療も終了していました。しかし、先日の超音波(エコー)検査の結果、同じ乳房内に微小のがんが広がっているといわれました。今後、もう1度放射線治療をするのか、それとも乳房切除となってしまうのか、治療法を教えてください。

(鳥取県 女性 47歳)

A 乳房切除が標準治療

まずは再発した部位が乳房だけなのか、他の遠隔部位にもないかどうかを画像検査などで評価する必要があります。

局所再発のみで、遠隔転移がない場合は、乳房切除が標準治療となります。小さなしこりの場合、再度乳房温存が試みられることがありますが、一般的ではありません。

質問者のように微小がんが広がっているような再発の場合、乳房の再温存は困難です。1度放射線照射を施行している場合、もう1度放射線治療をすることは、組織への総照射線量が許容量を超えるため行えません。

微小ながんが広がるような局所再発では、現在は転移がなくても、今後、遠隔転移をきたすリスクが高いと予想されるため、一般的には術後に全身治療を加えることが行われます。

ただ、臨床試験の実施が困難なため、局所再発治療後に抗がん薬治療を行うことで生存率が上がったという明確なエビデンス(科学的根拠)はありません。

同じ理由から、微小ながんが広がっているような局所再発の場合、遠隔転移がなくても、乳房切除の前に薬物療法を行う方針もありえます。

温存術後の乳房内再発の場合、サルベージ治療により根治できる可能性もあるため、治療は根治を目指すものになります。

ただし、乳房内再発の様式として、質問者のようにしこりではなく、微小ながんが広がっているような場合は、全身再発に近い面があるため、成績はあまり良くありません。

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