子宮頸がんの検査結果にばらつき。妊娠希望だが進行が心配

回答者・織田克利
東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
発行:2015年7月
更新:2015年10月

  

今年(2015年)結婚を控えており、妊娠を希望しています。子宮頸がんの定期検査をしてきましたが、いつも検査結果がバラバラです。2012年にクリニックの細胞診でクラスⅢbのASC-Hと診断されましたが、大学病院での組織診では異常なしと診断されました。今年に入ってクリニックと、前とは別の大学病院での細胞診で、クラスⅣのHSILと診断されましたが、組織診ではやはり異常なしとされました。医師からは円錐切除の段階とも言われました。

がんが進行している可能性は?あるいは、子宮頸部の奥のほうに病変があって見つかりにくいのでしょうか。医師にMRIの検査も勧められています。円錐切除で深く切除すると妊娠出産に良くない影響が出ると聞いたことがあり、心配です。どう対処すべきでしょうか。

(34歳 女性 兵庫県)

コルポ診と組織診で確定診断を。熟練医師に診てもらうことを勧める

東京大学大学院医学系研究科
産婦人科学講座生殖腫瘍学
准教授の織田克利さん

診断は細胞診と組織診で判断されます。ご相談者の場合、細胞診は一定して引っかかっていて、高度異形成等が十分想定されます。問題は組織診で確定的な診断が出ていない点です。細胞診だけで判断するのは、医学的根拠としては弱いです。細胞診は細胞の形を見て病変の程度を推測するので、確定診断ではないのです。すでに行われているでしょうが、膣拡大鏡(コルポスコープ)と呼ばれる専用の器具で子宮頸部を観察するコルポ診を行い、所見の強い部分の組織診断(狙い組織診)が必要です。

細胞診で推定される病変と組織診が一致して、円錐切除が必要か、経過観察が妥当か、妊娠を許可してもいいかを判断するというのが理想的な状況です。

MRIは、がんを見逃さないためのもので、上皮内がんをMRIで診断することはできません。明らかな浸潤がんを見逃さないために行うことが多く、上皮内がん、高度異形成、微小浸潤がんを診断するのには必ずしも有用ではありません。進行の速さですが、一般に高度異形成のクラスⅢbから上皮内がんまで進行するのには年月がかかります。ご相談者の場合も定期的な検査を受けられているので、先日の検査でクラスⅣは出ていますが、現時点で浸潤がんに進行している可能性は高くありません。

一方で、病変が奥にあって見つかりにくい(コルポ診での評価が難しい)という可能性は十分あります。従って、がんに至っていないかどうかを、きちんと確認する必要があります。

とくにご相談者の場合、細胞診と組織診の結果が合致しないケースに当たるので、婦人科腫瘍の専門医がいる病院で、熟練した医師に診てもらったほうがいいでしょう。

円錐切除を行う場合、切除する範囲は重要です。奥に病変がないと確認されれば、深く切除する必要はありません。コルポ診と組織診で病変の位置を事前によく評価する必要があります。深く切除すればするほど、妊娠に影響します。円錐切除を行う場合にも、切除範囲が小さすぎても大きすぎても好ましくありません。妊娠への影響が比較的少なくなるよう考慮して治療を行ってもらえる医師に診てもらうといいと思います。熟練した医師の受診をお勧めします。

ASC-H(クラスⅢa、Ⅲb)=高度な細胞異型の可能性があるが確定できない HSIL(クラスⅢa、Ⅲb、Ⅳ)=中等度異形成・高度異形成・上皮内がんと考えられる

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