子宮頸がん1歩手前の高度異形成。経過観察でよいか

回答者:関口 勲
栃木県立がんセンター 産婦人科・第1病棟部長
発行:2010年12月
更新:2013年12月

  

子宮頸がん検診を受けたところ、精密検査の組織診で高度異形成、前がん状態と診断されました。がんの1歩手前ということなのでショックを受けています。しかし、定期的に検査を受ければ、経過観察でもいいと言われました。子宮がんに進まないか心配なのですが、治療をしなくても大丈夫でしょうか。高度異形成では、病変組織を切除するケースも多いと聞きます。子宮の部分切除ですむなら、子宮頸がんに進まないうちに早めに治療したほうがいいとも思えるのですが、ご意見をお聞かせください。

(広島県 女性 34歳)

A 経過観察でもよいが、治療するのが一般的

子宮頸部の細胞が変異を起こす子宮頸部高度異形成は、一般的には治療の対象と考えられます。若い方なら、円錐切除術を勧められるのが普通です。

1つ目の理由は、軽度、あるいは中等度異形成は、自然治癒することが比較的多いのですが、高度異形成になると、自然治癒の可能性が少なくなること。高度異形成の自然治癒率は約3割で、子宮頸がんにも移行しやすいと考えられます(7~8割ががん化したという研究報告もある)。

2つ目の理由は、国際的なCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)の診断基準からすると、高度異形成はCIN3(細胞の異常度が低い順に1、2、3の3段階ある)に当たり、上皮内がんと同じような病気として考えられていること。

さらに、3つ目の理由として、手術前の診断で高度異形成であっても、切除してみたら上皮内がんの成分が含まれていたというケースが結構あることです。

高度異形成はがんではなく、前がん病変、良性腫瘍と考えられますので、子供が欲しい、仕事を休めないといった人は、経過観察を選んでもいいでしょう。ただし、その場合、コルポスコープ(腟拡大鏡)で病変全体が確認できること、コルポスコープ所見と細胞診、組織診の診断が一致すること、定期的な診察と検査を受けること、といった条件があります。

閉経以降の女性に多いのですが、病変が子宮頸管の奥のほうに及んでコルポスコープでの観察が不十分な症例では、とくに慎重な対応が必要です。

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