子宮頸がん発症後でも、ワクチンのがん予防効果はあるか

回答者:関口 勲
栃木県立がんセンター 産婦人科・第1病棟部長
発行:2010年12月
更新:2013年12月

  

3年前、1a期の子宮頸がんで円錐切除術を受けました。術後の経過は順調です。最近、子宮頸がん予防ワクチンが話題になっていますが、私のように、子宮頸がんを発症したあとでワクチンを接種しても、がんの予防効果はあるのでしょうか。子宮頸がんを引き起こすウイルスには何度でも感染すると聞くので、残った正常組織が再びがんになる可能性はあると思われ、ワクチンの効果がありそうな気もします。教えていただけますか。

(山梨県 女性 42歳)

A 新たな子宮頸がんを防げる可能性はある

子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)の感染を防ぎ、ひいてはがんの発症を予防することが目的で、一般的には子宮頸がんに罹患した方は、接種の対象になりません。新たなウイルス感染を予防するよりは、がんの再発について定期的に調べるほうが重要でしょう。

ただし、あなたにワクチンの効果が全く期待できないわけでもありません。HPVのうち、発がん性HPVは15タイプ(16、18、31、32、35型など)あります。HPVの検査でわかるのは、これら15タイプのどれかに感染しているかどうかということで、どのタイプのウイルスか、ということまでは特定できません。子宮頸がん予防ワクチンは、全子宮頸がんの6~7割の原因とされる16、18型ウイルスの感染を防ぐものです。あなたの子宮頸がんの原因となったHPVのタイプを調べることはできないので、もし、16型か18型のどちらか一方、あるいは16、18型以外のウイルスが原因だとすると、ワクチン接種によって今後、ウイルス感染を予防できるかもしれないのです。

ワクチン接種が最も推奨されるのは、性交によって16、18型ウイルスに感染する前の10~14歳の女性。ただし、効果は低下するものの、15~45歳までなら、接種の意義はあるといわれています。以上のことを考慮されるといいでしょう。

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