手術、化学放射線療法の成績と再発リスクを聞きたい
がん検診で、子宮頸がんが見つかりました。扁平上皮がんで2b期のようです。病院の説明では、手術か、放射線治療に抗がん剤を併用する化学放射線治療のどちらかの治療法を選ぶとのことです。手術後は放射線照射をすることもあるようです。手術をしないと正確な診断ができないとの指摘も受けました。手術はかなり大きくなりそうなので迷っています。1つは、手術と化学放射線治療それぞれの治療成績と再発のリスク。もう1つは、手術を受けないと正確な診断はできないのか、この2つについて教えてください。
(青森県 女性 43歳)
A 欧米では、放射線療法と化学療法による併用療法がほとんど
子宮頸がんの扁平上皮がん、2b期に対して、日本では手術をしているところもありますが、欧米では、放射線療法と化学療法による併用療法を行うことがほとんどです。日本では広汎子宮全摘出術という手術がよく行われています。子宮と周囲の組織、それに腟の1部を切除し、リンパ節郭清を行います。広汎子宮全摘出術をした場合に、リンパ節転移があるとか、腫瘍が外に出ているときなどには、手術後に放射線療法を行うことになります。広汎子宮全摘出術のあとで放射線療法を加えると、広汎子宮全摘出術だけのときに比べて、足のむくみ、尿路障害、腸管障害などの副作用が大きく出てしまうことがあります。このことは、医学論文で発表されていますし、臨床経験的にもそう言えます。
『子宮頸癌治療ガイドライン』(2007年版。日本婦人科腫瘍学会編)では、2b期の標準的治療として、広汎子宮全摘出術と、化学放射線療法を並列に扱っています。ですから、手術後に放射線療法をかけなければならないような大きな腫瘍のときには、広汎子宮全摘出術ではなくて、最初から放射線療法と抗がん剤を併用する化学放射線療法のほうがよいという考え方が広まりつつあります。治療成績についてですが、欧米では、2b期に対する手術と化学放射線療法の治療成績はほぼ同じです。生存率、再発リスクもともにほぼ同等です。日本では、2つの治療法を比べた正確な研究データはまだ発表されていません。
診断は、手術前に内診、画像診断を総合して行います。ある程度の予想はできますが、わからないこともあります。手術前には2b期と予想していたものの、手術で実際に切除して病理検査をした結果、1b期に近かったり、3b期に近かったりなど、実際には、2b期と言ってもかなり幅があります。手術と化学放射線療法のそれぞれのメリット、デメリットについて、主治医からよく説明を受けて、治療方法を決めるようにしてください。
当センターでは、2b期の子宮頸がんの患者さんで手術が充分可能である場合には2つの治療方法についてよく説明して、どちらにしたらよいのか、選んでいただいています。最近では、手術ではなく、化学放射線療法を選ぶ患者さんが多くなっています。