神経芽腫4期で経過観察?

回答者:長谷川 大輔
聖路加国際病院 小児科医幹
発行:2013年8月
更新:2013年12月

  

生後1カ月の息子のことでお聞きします。お腹が大きく膨れ上がっていたため調べてもらったところ、神経芽腫の疑いがあると言われました。その後の検査で、皮膚と骨髄にも転移がありました。担当医からは、様子を見たいとのこと。どうして治療をしないのでしょうか?

(神奈川県 女性 34歳)

A 神経芽腫4S期は、自然消失しうる特殊な病型

神経芽腫の4期とは、リンパ節や骨・骨髄・肝臓・皮膚など原発巣から離れた他の臓器に転移している状態を言います。

しかし、1歳未満に発症し、腫瘍が原発巣のみに限局して、かつ体の中心をまたがない程度の大きさで、転移部位が皮膚・肝臓・骨髄のいずれかに限定されているものは、自然に消えていく(自然退縮)可能性が高く予後が良い、病期4S(S=s pecial)と言います。

ただ、神経芽腫ではがん遺伝子のMYCNが増幅している場合は、予後不良となります。4Sも同様のため、転移箇所のみで4Sと判断するのでなく、腫瘍の生検結果によって生物学的に予後不良因子がないことの確認が必要です。MYCNが増幅している場合は、4期と同様に自家末梢血幹細胞移植を含む集学的治療が行われます。

質問者の息子さんのように、乳児期(1歳未満)で4Sと診断された神経芽腫は、自然退縮しやすい傾向にあり、1期や2期と同様に予後も良好です。そのため、治療を行わずに様子をみることが少なくありません。

ただし、腫瘍の急速な増大や圧迫による呼吸障害などの臓器障害には注意が必要です。そのような緊急時は、最低限度の化学療法(エンドキサンなど)などが行われます。とくにプロトコールが決まっていないため、担当医とご相談ください。

エンドキサン=一般名シクロホスファミド

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