小児がん寛解後のフォローアップやリスクは?

回答者・長谷川大輔
聖路加国際病院小児科医幹
発行:2014年1月
更新:2014年4月

  

4歳のときに、ウィルムス腫瘍で、右の腎臓を摘出しています。小学生のうちは、治療した病院で定期的に検査を受けていたのですが、フォローアップを止めて20年以上経過しました。

3年前にサルコイドーシスになり、健康情報を調べているうちに、小児がん経験者は、一生涯定期的なフォローアップが望ましいこと、2次がんのリスクに気を配る必要のあることを知りました。本当に一生涯、定期検診を受けるべきですか? また 2次がんのリスクは、一生一般の人より高くなるということなのでしょうか?

3年前、サルコイドーシスになったのは、小児がんと関係しますか?

(36歳 女性 新潟県)

晩期合併症は60%超。リスクに備えたフォローアップを

聖路加国際病院小児科医幹の長谷川大輔さん

小児がんの治療成績には目覚ましい進歩があり、最近の5年寛解生存率は70~80%です。

一方で、診断後5年以上生存した小児がん経験者の長期生存割合が86~92%、死亡例は10%前後ということが明らかになっており、死亡率は同年代の小児がん経験者ではない群と比べると、約10倍にも及びます。また、いわゆる晩期合併症についても、軽度の障害で60%以上、重度の障害も27%以上の患者さんにみられています。

重度の晩期合併症の1つに挙げられる2次がんを、小児がん経験者が治療後20年の間で発症するリスクは3~10 %で、一般集団で推定されるがんの発症率に比べて3~20倍も高くなっています。これらのことから、治療終了後も定期検査を受けるなどの、長期にわたったフォローアップが欠かせません。

質問者の方が発症されたサルコイドーシスは、小児がんの経験とは直接関係しないと考えられます。しかしこれを機に、定期的な検査をしっかり行うようにするとよいでしょう。またその際には、担当医に必ず小児がんの経験を伝えてください。

ウィルムス腫瘍(腎芽腫)=腎臓(じんぞう)で発生する悪性腫瘍。小児腎腫瘍の中ではもっとも頻度が高く90%を占め、子どもの悪性腫瘍全体でも5~6%を占める。1~4歳の子供に多くみられ、女児に発症することがやや多い
サルコイドーシス=原因不明の肉芽腫
晩期合併症=治療終了後長期間経過後に発症するものや、治療が終了しても症状が続くもの。低身長などの内分泌疾患や認知機能障害、2次がんなど

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