横紋筋肉腫の治療にヴォトリエントという新薬はどうか?

回答者:牧本 敦
国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科科長
発行:2013年2月
更新:2013年12月

  

5歳の息子が横紋筋肉腫と診断され手術をしました。手術ではがんをすべて取ることができ、手術のあとの抗がん薬治療には、VAC療法という治療法を行うと言われています。インターネットで調べたところ、ヴォトリエントという悪性軟部肉腫に有望な新薬が認可されたとありました。息子にも使えるのでしょうか。

(東京都 男性 35歳)

A 小児横紋筋肉腫への効果は不明。VAC療法を行うべき

ヴォトリエントは、最近発売された悪性軟部腫瘍の治療薬ですが、成人に対して臨床試験を行っており、小児用として開発された薬ではありません。また、悪性軟部腫瘍は50種類以上に分類され、横紋筋肉腫はそのなかの1つです。

今回ヴォトリエントが認可された臨床試験では、さまざまな悪性軟部腫瘍の患者さんを多数集めて行われましたが、横紋筋肉腫の登録例は1症例のみです。しかもこの1症例にはヴォトリエントは投与されておりません。

さらに、基礎実験の段階では、小児の横紋筋肉腫のがん細胞を用いた実験も行われましたが、腫瘍の縮小などの顕著な効果は認められませんでした。ですから、無理をしてこの薬剤で治療をしたとしても、治療効果が得られる根拠がないのが現状です。

一方、VAC療法は、1960年代から世界中の小児の横紋筋肉腫の治療に使われてきており、治療効果も高く、副作用もその対処法もよく知られています。

この方の場合、手術で腫瘍を完全に摘出できたということですから、術後グループ分類では、残存病変なしというグループ1に入ります。グループ1の患者さんが術後の再発予防としてVAC療法を行った場合には、再発する人は、大変まれです。

確かに、VAC療法は副作用の強い治療ではありますが、治療成績がしっかり出ている治療法なので、副作用に気をつけながらしっかり治療を行ったらよろしいかと思います。

VAC療法=オンコビン(一般名ビンクリスチン)、コスメゲン(一般名アクチノマイシンD/ダクチノマイシン)、エンドキサン(一般名シクロホスファミド)による3剤併用療法
ヴォトリエント=一般名パゾパニブ

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