FOLFOX+アバスチンで効果が見られない。このまま様子を見たほうがよいか

回答者・大矢雅敏
獨協医科大学越谷病院外科教授
発行:2015年6月
更新:2015年9月

  

父(61歳)が、昨年(2014)9月に上行結腸にがんが見つかり、手術を受けました。しかし、今年1月のCT検査で肝臓に6カ所ほど転移していることがわかり、FOLFOX+アバスチン療法を3回ほど行いましたが、3月に行ったCT検査で、あまり効果が見られないことがわかりました。このままこの治療法でもう少し様子を見たほうがいいのか、それとも新たな治療を行ったほうがいいのでしょうか。

(36歳 女性 新潟県)

治療の切り替えが必要。まずは手術可能かを評価してもらうことが大切

獨協医科大学越谷病院外科教授の
大矢雅敏さん

肝臓への転移ということですが、6カ所位であれば、切除手術ができる可能性があります。まずは、肝臓外科医に切除手術が可能かどうか、評価してもらうことが大切です。

手術可能かどうかの1つの基準としては、肝臓の中の重要な血管が腫瘍に巻き込まれているかどうかがあげられます。転移が6カ所であっても肝臓の重要な血管が巻き込まれていなければ、切除手術が可能です。ただしこの判断は難しく、一般の消化器外科医ではなく、肝臓外科を専門としている医師に評価してもらうことが大切です。

評価してもらい、切除手術が可能ということであれば手術を選択します。もし切除手術ができないということであれば、イリノテカンベースの治療に切り替えることが必要です。

具体的には、アバスチンはそのまま継続しての、FOLFIRI療法やXELIRI療法、IRIS療法による治療です。また、RAS遺伝子を調べて、変異がなければ、イリノテカンベースの治療(FOLFIRI、XELIRI、IRIS)+抗EGFR抗体薬(アービタックスまたはベクティビックス)療法に変更することが必要です。

いずれにしても「あまり効果が見られない」ということは、腫瘍が大きくなったか、新たな転移が出現したことになるので、このままの治療で様子を見ることは良くありません。まずは肝臓外科医に手術ができるかどうか、評価してもらうことをお勧めします。

FOLFOX=5-FU+ロイコボリン+エルプラット FOLFIRI=5-FU+ロイコボリン+イリノテカン XELIRI=ゼローダ+イリノテカン IRIS=TS-1+イリノテカン アービタックス=一般名セツキシマブ ベクティビックス=一般名パニツムマブ

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート5月 掲載記事更新!