大腸がんの肺転移。術後化学療法を受けない場合の再発率は?

回答者・大矢雅敏
獨協医科大学越谷病院外科教授
発行:2016年4月
更新:2016年7月

  

2年前(2014年)に直腸がんの手術を受けました。ステージⅢ(III)aで、リンパ節転移が1個、術後はUFTを半年間5クール服用しました。ところが今年(2016年)に入り、右肺に8mmの転移巣が見つかり、手術で切除しました。主治医からはとくに勧められていないのですが、今後の再発を防ぐためにも、術後補助化学療法をしたほうがよいのではないかと考えています。

しかし、エルプラットを使った治療をした知人から、「手足のしびれがひどかった」という話を聞き、副作用が強い抗がん薬は使う気持ちになれません。術後の化学療法を受けないと、再発の確率はどの程度高くなるのでしょうか。

(50歳 男性 群馬県)

肺転移切除後の補助化学療法。有効性は証明されていないが…

獨協医科大学越谷病院外科教授の
大矢雅敏さん

この場合、再発の確率が高くなる可能性はありますが、それを証明する臨床研究は今のところありません。ですからエルプラットを使った治療をしたくないのであれば、使わないという考え方もあるでしょう。

エルプラットを使わない化学療法を受けるのならば、UFT+ロイコボリンもしくはゼローダのどちらかを選ぶのが一般的です。UFTは前回も使用していますが、再発が見つかるまでに2年も経過しているので、ある程度は効果があったとも考えられます。UFT+ロイコボリンは比較的副作用の少ない抗がん薬です。一方、ゼローダは手足症候群といって、手足が赤く腫れるなどの症状が現れることがありますが、一般的には副作用はそれほど強くありません。

ご相談者の場合、化学療法をせず、このまま経過を見る方針も含めて、最終的にはご本人の選択ということになります。

UFT=一般名テガフール・ウラシル エルプラット=一般名オキサリプラチン ロイコボリン=一般名レボホリナート ゼローダ=一般名カペシタビン

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