便潜血検査で要精検。がんが発見された場合の治療法は?
最近、便潜血検査で要精検という結果が出ました。これまで、病気をしたことがないほど元気だっただけに、検査の結果に驚いています。お聞きしたいのは、2点です。1つめは、精密検査を受けた場合、どれくらいの割合で、大腸がんが発見されるのでしょうか。2つめは、がんが発見された場合の治療法についてです。早期なら開腹手術をせずに治るのでしょうか。
(大分県 男性 50歳)
A ステージ0なら内視鏡。内視鏡治療が難しい場合は手術
便の中の見えない血液を試薬で調べるのが、便潜血検査です。
検査法には触媒法と免疫法がありますが、最近では、免疫法が多く用いられています。この検査法は、免疫反応を利用して人のヘモグロビン(血液中のタンパク質)だけを検出するため、食事や貧血の薬の鉄剤の影響を受けません。また、胃や十二指腸の出血ではほとんど陽性にならないため、大腸がんなどの大腸出血の診断に用いられます。
この検査で、陽性になった場合は、精密検査をします。大腸内視鏡検査または注腸X線検査を行います。
ある調査によると、精密検査で、大腸がんが発見される割合は3パーセントほどです。そのうち、早期がんは56パーセントほどです。
大腸がんかどうかは、精密検査をしてみなければわかりません。精密検査は、外来で受けられます。検査を楽に受けられるように、鎮静剤を使用します。
朝、外来に来ていただいて、腸をきれいにしてから検査をします。一般的には検査後に、検査結果がわかります。
治療は、がんが粘膜にだけあるステージ0なら、最初に内視鏡でがんを取り除きます。大きさが2センチを超えていたときや、がんのできた場所によって内視鏡治療が技術的に難しい場合には、最初から手術で治療をすることが多くなります。
また、内視鏡で切除したがんを顕微鏡で調べて、がんが粘膜下層に深く入り込んでいると、リンパ節転移の可能性が高まります。こうした場合には、追加治療として、リンパ節郭清をともなう手術を行う必要が生じます。
がんが筋層より深く入り込んでいる進行大腸がんと診断されたときには、腹腔鏡手術あるいは開腹による手術が必要となります。