人工肛門(ストーマ)の管理が煩雑に感じることがある

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2007年9月
更新:2014年1月

  

2年前に直腸がんの手術で直腸とS状結腸、肛門、リンパ節を切除して、人工肛門(ストーマ)を装着しました。人工肛門からお湯を入れて大腸を洗う方法で管理をしています。手術と人工肛門のおかげで、生かされていると感謝しています。ただ、人工肛門の管理が煩わしいと思うことがあります。ほかに何かよい方法はないでしょうか。

(福井県 男性 59歳)

A 管理方法をパウチ法に変えてみては

直腸がんの手術で、直腸とS状結腸、肛門、リンパ節を切除されたとのことですからマイルスの手術と呼ばれる腹会陰式直腸切除術を受けられたのだと思います。この手術は、肛門括約筋を含めて、肛門を切除します。肛門まで切り取ってしまった患者さんの自然肛門を復元させることは困難です。現代の医学はかなり進歩していますが、残念ながら、自然肛門を人工的につくるところまでは達していません。ですから、ご相談者の場合には、一生、人工肛門で排便をコントロールしていく必要があります。

人工肛門を管理する方法には、人工肛門からお湯を入れて大腸を洗う洗腸法と、人工肛門に袋を貼って便を集めるパウチ法とがあります。前者の洗腸法では1~2日に1度、腸のなかを1時間ほどかけて洗います。その後は、まったく便は出ません。

後者のパウチ法は、自然にまかせて排便する方法です。最近は、用いる装具が非常に進歩して、便や臭いが漏れることはありません。袋に便がたまったら、袋を取り替えるだけですから簡単です。

ご相談者は、洗腸法をなさっているわけですが、煩雑に感じたりしたときには、パウチ法に変えることもできます。洗腸による煩わしさがなくなると思います。洗腸法にこだわる必要はありません。

手術で肛門を残すことができた場合でも、便を漏らす便失禁を起こすことがあります。日常生活上のことを考えると、むしろ、人工肛門で便通をコントロールしたほうが生活の質(QOL)が向上する場合も少なくありません。人工肛門にしたことを後悔しないようにしてください。

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