術後の再発予防のために、効果がある食事を教えてほしい

回答者:大矢 雅敏
獨協医科大学越谷病院 外科主任教授
発行:2005年10月
更新:2014年1月

  

5年前にS状結腸がんでリンパ節転移が2カ所見つかり、外科手術を受けました。術後8カ月目、小さな肝転移が2カ所発見され、エタノール注入療法を受けました。その後は、再発予防のために野菜ジュースを多く飲み、食塩と動物性脂肪の少ない食事を採るようにしています。ほかに、再発予防に有効な方法があったら教えてください。

(岩手県 男性 54歳)

A 残念ながら、食事療法では再発の予防はできない

肝転移に対する第1選択の治療は開腹手術による転移病巣の切除です。全身状態や肝機能がよい状態でしたら手術で切除すべきです。54歳でしたら全身状態は悪いことは少ないですから肝機能に問題がなければ、切除手術を受けたほうがよかったかと思います。肝転移に対する手術技術は非常に進歩しています。手術技術に優れた病院でしたら、肝転移が10個以上あっても取り除くことができますので、開腹手術を第1選択として考えるべきです。何らかの理由によって切除手術ができない場合、局所療法としてラジオ波やマイクロ波を用いる局所療法、全身化学療法、肝動注化学療法を行います。

最近ではエタノール注入療法はあまり行われていません。エタノール注入療法で肝転移が完全に消えているようなら、3カ月に1回、CTと超音波検査を受けながら通常の経過観察をしてください。

残念ながら、食事療法では再発の予防はできません。食事療法を含めて、これを行えば再発予防ができるという予防法は現状ではありません。そこで、大切なのは、局所再発を早期に発見して早期に適切な治療を行うことです。3カ月に1回、肝転移だけでなく、肺転移やリンパ節転移などをチェックすることが重要です。

もし、今度、肝転移が見つかったら開腹手術による切除を第1選択にしてください。また、肝転移手術後の化学療法の有効性については、無作為比較臨床試験による検討が進行中です。

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