食道再建手術後、食事が摂れない
昨年、父が食道がんのⅡ期で手術を受けました。胃を持ち上げ、胸壁前経路という方法で食道再建を行いました。幸い、がんを取りきることができ順調なのですが、手術後2カ月が経っても食事がほとんど摂れず、手術後7キロも減量してしまいました。非常に心配です。
食事時の症状は、飲み込んでもつかえる、また、飲み込めても逆流しがちで胸やけがひどいというものです。食事が上手に摂れるよう、なにか良いアドバイスをいただけますよう、お願いいたします。
(49歳 男性 鳥取県)
A 体重減少を過剰に気にせず、食べやすいコツを
「食事がうまく摂れない」「体重減少」については、食道がんの手術受けた患者さんが1番悩まれることです。また、手術後、1年間で10キロほど体重が減少するという方が多く、それをできるだけ防ぐために経腸栄養で補うこともあります。
ただ私たちは、まず患者さん、そしてご家族に「体重減少をあんまり心配しすぎないでください」とお伝えしています。
患者さんやご家族は、体重減少に「がんが関係しているのではないか」と心配される方は少なくありません。また、患者さんが痩せていく姿を見て心配して食べるように勧めるご家族も多いですが、ただでさえ心配事やプレッシャーがあったら食事は喉を通りません。
手術後、食事が摂りにくいという症状は、劇的には良くならないのですが、多くの人は、手術後3カ月ほどで持ち上げた胃の蠕動(ぜんどう)運動がしっかりしてきます。1年経つと、蠕動(ぜんどう)運動が強くなり、その機能は大きく回復してきます。あまり過剰に心配することなく、うまく付き合っていくことが大事だと思います。
気をつけなければならないことは、手術直後、吻合部の部分に虚血が強い場合、狭窄が起こる可能性があります。したがって、手術後1~2カ月は内視鏡でしっかりと確認をしながら、狭くなるようであれば*バルーンで内腔を広げるようにします。
患者さんへのアドバイスは「飲み込むことを強く意識すること」。口の中に入った食べ物を舌でしっかりと喉の方に送り、顎をぐっと引いて飲み込む、というように、しっかりと飲み込み方を考えながら飲み込んでください。
逆流に関しては、食べる量を少なめにして1時間、2時間かけてゆっくりと食事を摂るようにします。また、夜寝るときに逆流が起こりやすいので、就寝の3時間前には食事を終わらせ、横になるときは枕を高くして寝ることをアドバイスしています。
*バルーン=風狭窄の状態に適した大きさの拡張用バルーン(風船)がついたカテーテル