内視鏡切除後、浸潤が判明。進行性か
早期の食道がんがわかり、内視鏡による粘膜切除を行いましたが、切除後、細胞を調べたところがんが粘膜より深く入り込んでいることがわかったそうです。今後は手術や化学放射線療法なども視野に入れて治療を行うということです。当初、早期で内視鏡だけで済むと思っていたので、非常にショックです。これは、がんの進行が早いということなのでしょうか?
(61歳 男性 群馬県)
A 内視鏡的治療後は病理で確定診断。必ずしも進行性ではない
都立駒込病院食道外科部長の出江洋介さん
現在、食道がんの内視鏡的切除術では適応拡大が進んでいて、以前は手術が行われていた粘膜下層浅層(SM1)への*浸潤がんも、内視鏡による切除を行う場合が多くなってきています。
しかしその際、切除後の病理検査で脈管侵襲がないかどうかをしっかり調べます。ここで脈管侵襲がなければ追加治療は行わずに経過観察となります。
もし、浸潤が深く、粘膜下層のSM2、SM3の部分までがんがもぐっていれば追加治療を行う必要があります。基本的には手術が行われます。
ご相談者は、追加治療が必要と伝えられ驚かれたかと思いますが、ミクロンの単位である早期食道がんを正確に診断するのは難しいこともあり、内視鏡で切除して、病理でしっかりと調べてみて診断することが多くあります。したがって、内視鏡による治療から手術が必要となったとしても必ずしも進行が早いというわけではなく、がんが予想より深く浸潤していたとしても、追加治療によって基本的には治ります。
手術と聞くと驚かれるかもしれませんが、治療成績は手術が5年生存率は100%、化学放射線治療となると70%となり、できるだけ手術をお勧めしています。
*浸潤=がん細胞が周辺の細胞に浸み込むように広がっていくこと