3期の食道がん。術前化学療法を受けるべきか
3期の食道がんと診断され、手術の前に化学療法を行うことをすすめられました。化学療法に抵抗があるので、できれば受けたくないのですが、受けるべきでしょうか?
(高知県 男性 64歳)
A 状態や副作用を考慮して判断を
都立駒込病院食道外科医長の
出江洋介さん
出江洋介さん
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の研究によると、2期と3期の食道がんでは術前化学療法を推奨するという結果が出ました。それに伴い現在、術前化学療法が行われることが多くなっています。
ただし、すべての患者さんに術前化学療法のメリットが得られるわけではないので、1人ひとりの患者さんの状態と副作用との兼ね合いを考慮しながら、術前化学療法を行うか行わないかを判断しています。
40~45パーセントの患者さんに効果があるといわれていますが、3期の場合、2期よりも術前化学療法の効果が低いといわれています。ですが3期であっても腫瘍が目に見えて小さくなるようなよく効く人は、治る確率が高く、再発も少ないです。
術前化学療法は、5-FU(一般名フルオロウラシル)、シスプラチン(一般名)また当院ではそれにアドリアマイシン(一般名ドキソルビシン塩酸塩)を加えた3剤を5日間投与し、23日休むサイクルで2コース行っています。
副作用は吐き気、白血球減少、脱毛、腎障害、口内炎、全身倦怠感などがありますが、専門の施設で受けていれば、副作用はケアすることができます。
術前化学療法は、腫瘍を小さくして手術で確実にがんを切除できるようにすることが目的です。したがって、手術まで進めるように、副作用対策をきちんと行っていくことがとても重要です。