開胸手術後、血液検査だけで再発をチェックできるか

回答者:出江 洋介
都立駒込病院 食道外科医長
発行:2008年9月
更新:2013年10月

  

数カ月前、食道がんで手術を受けました。通常の開胸手術です。扁平上皮がんでステージ1とのことです。手術はうまくいきました。さまざまな事情で、住まいを移す予定です。お聞きしたいのは、今後の検査についてです。どのような検査を受けていったらよいのでしょうか。できるだけ、簡単で負担のかからない方法で受けたいと思っています。たとえば、血液検査だけで簡単にわかる方法はないのでしょうか。

(大分県 72歳 男性)

A 血液検査だけでは難しい

一般的に、ステージ1ですと、術後の再発はほとんどありません。

ですから、病理組織が特殊型(腺扁平上皮がん、類基底細胞がんなど)の食道がん以外は、あまり再発の心配はなく、CT検査を6カ月ごとに2年間行えばよいと思います。また、内視鏡検査は、1年に1回、下咽頭や胃などの重複がんのスクリーニングに必要です。

とくに、食道がんは、下喉頭がんを併発することが多く、注意が必要です。通常の食道がんの開胸手術では、腫瘍のある食道を切除して、頸部食道と胃をつなぎます。頸部食道は残しますから、ここにがんができる可能性もありますが、頻度は低いです。下咽頭がんや再建臓器としての胃にがんができることは珍しくありません。

血液検査で、食道がんの腫瘍マーカーを測定する方法もあります。食道がんの腫瘍マーカーには、SCC、CEA、シフラなどがあります。最近では、これらの腫瘍マーカーよりも鋭敏だといわれる抗P-53抗体という腫瘍マーカーも保険適応になり、用いられるようになりました。ただし、これらの腫瘍マーカーだけでは、なかなか再発を見つけることはできません。進行した状態にならないと、腫瘍マーカーが上がってこないことが多いのです。血液検査だけでは、再発をチェックすることは難しいと思います。

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