肺気腫で早期の食道がん。何もしない選択は?

回答者:出江 洋介
都立駒込病院 食道外科医長
発行:2008年2月
更新:2013年10月

  

78歳の父のことで相談です。食道の中央近くに大きさ5ミリほどのポリープが1個見つかりました。担当医からは、「早期の食道がんです。すぐに身体に影響するとか、命にかかわることはないと思います。手術、抗がん剤、放射線治療は行わないという選択もあります」という説明を受けました。父は、肺気腫という持病もあり、何もしないという選択でよいでしょうか。内視鏡手術という治療法もあると聞いていますが、78歳の高齢者でも可能なのでしょうか。

(愛媛県 51歳 女性)

A EMR、手術および化学放射線療法が考えられる

一般的に、78歳なら、手術などのしっかりした治療を受けようと思えば、受けられます。ただ、肺気腫があるとのことなので、どの程度の呼吸機能なのかが問題です。食道がんの方は、ヘビースモーカーが多く、肺機能が相当悪くなっている場合が少なくありません。そこで、年齢的なことと同時に肺機能を考慮して、治療法を選びます。

1つは、内視鏡的粘膜切除術(EMR)です。胃カメラと同じように、口から挿入した内視鏡によって、がんを摘出する治療です。リンパ節転移がなく、がんが粘膜上皮や粘膜固有層にとどまる0期を対象にした標準治療です。

ご相談者の場合、大きさ5ミリの隆起性病変で、手術が治療選択の1つとのことなので、おそらく粘膜下層に少し入っているぐらいの病変だと推察されます。EMRの治療対象になると思います。EMRの治療時間はベッドに横になって30分ほど。局所麻酔で行います。大きさ5ミリなら1回の治療で切除できます。90歳でも治療は可能です。

ただ、がんが粘膜下層に少し入っているとリンパ節転移もあります。CTなどでリンパ節転移があれば、手術もしくは化学放射線療法が必要になるかも知れません。手術は一時的には大きな侵襲が加わります。化学放射線療法では、放射線による肺炎の障害が長期的に大きな問題になる場合があります。肺機能の状態によっては、病変が小さいため、照射する場所をしぼるなどの調整も大切になります。

肺機能が悪くて、手術を行うことが難しい場合には、縦隔鏡を用いた手術がよいかも知れません。通常の胸腔鏡手術は、肺をしぼませて手術を行う点では開胸手術と同じです。肺をしぼませること自体が肺にダメージを与えます。縦隔鏡手術は、肺をしぼませないで、肺への負担を少なくして行うことができます。リンパ節も上縦隔の一部を除いて十分に取り除くことができます。80代前半までなら可能です。最小で最大の効果を目指した手術です。

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