3期の食道がん。術後に抗がん剤治療を受けたほうがいい?

回答者:安藤 暢敏
東京歯科大学市川総合病院 副院長
発行:2007年9月
更新:2013年10月

  

内視鏡検査などを受けた結果、3期の食道がんがあると告げられました。早いうちに手術を受ける予定です。インターネットで調べると、3期の食道がんは、手術後に化学療法を行ったほうがよいと書かれているサイトもありました。手術後にさらに抗がん剤治療を受けるのは少し心配ですが、そのほうがよいのでしょうか。

(北海道 61歳 男性)

A 術前に抗がん剤治療を受けたほうがより効果的

3期の食道がんに対し、「手術単独」と「手術+術後補助化学療法」との比較試験を私たちのJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)食道がんグループで以前行ったことがあります。

その結果、生存率(正確には、無再発生存率)は手術+術後補助化学療法のほうが高いことがわかりました。ですから、体力的な問題がないようでしたら、手術だけで治療を終えるよりは、術後に補助化学療法をお受けになったほうがよりよいでしょう。

61歳の男性の場合、術後に抗がん剤治療を受けても一般的には問題ありません。

その際、使用する抗がん剤は、5-FU(一般名フルオロウラシル)とシスプラチン(商品名ブリプラチンもしくはランダ)の2剤併用療法が第1選択になります。場合によっては、この2剤にアドリアシン(一般名塩酸ドキソルビシン)を加えることもあります。アドリアシンを加えると、副作用もその分、強くなります。

さて、今お話ししたのは、手術後の補助化学療法についてです。手術単独よりも手術+術後補助化学療法のほうが治療成績がよいという結果を受け、私たちのグループではその後、術後化学療法と術前化学療法との比較試験を2000年から実施し、その結果が今年の3月に出ました。

結果は、術前化学療法のほうが治療成績が勝っていました。しかも、再発した場合なども含めた全生存率が上回っていました。

これによって、3期の食道がんに対しては、手術単独より手術+術後補助化学療法のほうが治療成績がよく、その手術+術後補助化学療法よりも「術前補助化学療法+手術」のほうがさらに治療成績がよいことが明らかになりました。

術前補助化学療法に使用する抗がん剤は、術後補助化学療法の場合と同じく、5-FU+シスプラチンの2剤併用療法が第1選択になります。

以上のことを考慮されたうえで、主治医に相談されてみてはいかがでしょうか。

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