ステントを入れると苦痛だと聞いたが…
2004年春、食道の手術を受けました。手術中にリンパ節への転移が見つかり、術後補助化学療法を受けました。しかし、先日の検査で、気管に再発が見つかりました。そのためか、咳が出やすくなっています。担当医は、ステントを用いた治療を勧めていますが、苦痛だという話も聞いています。どうしたらよいのか、悩んでいます。
(愛知県 62歳 女性)
A それほど苦痛ではない。治療目的を明確に
食道がんは、食道と気管が隣り合わせにあるため、気管や気管支に再発することが多いのが特徴です。気管に再発が起きて、そこが刺激されて咳が出やすくなることはありえます。ただし、咳をコントロールするためなら、咳止め薬を用いるだけで十分です。担当医がステント治療を勧めているのは、気道に狭窄やろう孔ができているためではないかと考えられます。
気道に狭窄があると呼吸困難に陥ることがあります。そのため、ステントを用いて気道を確保する治療が行われます。また、ろう孔をふさぐためにステント治療を行うこともあります。気道の狭窄やろう孔は、CTや内視鏡の検査でわかります。何を目的にステント治療を行うのか、主治医からもう1度きちんと説明を受けたほうがよいと思います。また、気道の狭窄やろう孔に対するステント治療はきわめてポピュラーなものです。それほど苦痛なものでもありません。
ところで、咳、気道の狭窄、ろう孔に対する治療は、ある症状を改善する対症療法でしかありません。あなたにとって最も大切なのは再発治療です。化学放射線治療を1度も受けていなかったとすれば、化学放射線治療が適応になります。食道がんの気道系への再発治療は専門的な治療技術が求められます。やはり、食道がんの専門医にご相談して、慎重かつ賢明な治療選択をしてください。