逆流性食道炎を発症。食道がんに進行したか、確認する検査法は?
食後に、チリチリした胸やけが続くので病院に行ったところ、逆流性食道炎と診断されました。逆流性食道炎から食道がんになる可能性があり、最近日本でも増えていると聞いたことがあります。食道がんになっていないかどうか調べるには、どのような検査が必要でしょうか。食道がんにならないために予防できることはありますか。
(奈良県 男性 48歳)
A 年1回、精度の高い内視鏡検査かヨード染色を行う
出江洋介さん
逆流性食道炎は、食生活の欧米化やタバコ、飲酒、肥満などの生活習慣の悪化、ストレスにより日本人にも増えている病気です。また、高齢者に多いことが知られています。主な症状には、胸やけ、のどの違和感(イガイガ)、ゲップ、胃が重苦しい、お腹が張るなどがあります。
治療法としては、プロトンポンプ・インヒビター(PPI)という飲み薬による薬物療法を行います。
もともと食道の上皮は扁平上皮なので、つるんとした白っぽい皮膚のような感じです。しかし、逆流性食道炎になると、びらん(食道の粘膜がはがれ落ちた状態)ができ、さらに、胃の粘膜に似た赤みを帯びた「バレット上皮」ができます。
これは、逆流した胃酸の刺激を受けて炎症が起こり、粘膜に傷がついて修復されるときに発生します。このバレット上皮が胃のほうから延びてきて、食道の下部に腺がんができやすくなります。
しかし、逆流性食道炎から食道がんになる確率は、それほど高いわけではありません。ですので、50歳以上になったら、年1回内視鏡検査で調べれば十分です。
バリウム造影では早期がんは見つかりにくいので、内視鏡検査、とくにNBIという精度の高い内視鏡検査をお勧めします。これは色調を変えて調べるため、小さながんを見つけるのに役に立ちます。
そのほか、昔ながらのヨード染色も有効です。ヨード染色は、正常な部分は色に染まりますが、がんの部分は染まらずに色が白く抜けることで、比較的容易に早期がんを発見できます。
逆流性食道炎は、メタボリックシンドロームの病気ともいえます。太っている人に多いため、まずは体重を減らすこと、そして食生活の改善が大切です。消化のよいものを食べ、脂っこいものはたくさんとらない、間食はしない、寝る前に食べない、といったことに気をつけましょう。