局所進行の尿管がん。術後の抗がん薬治療は必要か

回答者・古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2017年5月
更新:2017年5月

  

今年(2017年)に入り、右尿管に1㎝大のがんがあることがわかり、右腎臓、右尿管の全摘出と膀胱の一部の摘出手術を受けました。他の臓器に転移はなく、リンパ節転移もしていませんでした。ただ、主治医によると、がん細胞が尿管周囲に少し浸潤しているということで、術後に抗がん薬治療を行うことを勧められています。現在とくに症状もなく、以前と変わらず過ごしている状態なのですが、このような場合でも抗がん薬治療は必要なのでしょうか。

(61歳 男性 栃木県)

予後改善の報告もあり、術後補助化学療法を勧める

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

上部尿路上皮がんにおける術後の補助化学療法の有効性については、エビデンス(科学的根拠)レベルの高い報告は、今のところ存在しないのが現状です。上部尿路上皮がんは、尿路上皮がん全体の約1割と数が少なく、大規模なランダム化比較試験を組むことが難しいためです。

ただ、米国のナショナルキャンサーデータベースなどのビッグデータを用いた後方視的(レトロスペクティブ)解析などの結果から、ご相談者のような局所進行がんの場合、術後補助化学療法を行ったほうが、予後が改善する可能性が高いと考えられています。

術後補助化学療法としては、通常GC療法といって、ジェムザールとシスプラチンの2剤併用療法を3~4コース行います。ただ、手術で右腎臓を切除して腎機能が低下している可能性があるため、抗がん薬の減量や、薬剤の変更(腎臓に負担のかかるシスプラチンから、パラプラチンに変更)が必要となるかもしれません。

GC療法自体、副作用も比較的軽く、多くの患者さんは「思ったより楽だった」とおっしゃいます。ご相談者は61歳と若く、お元気なのであれば、医師の立場としては術後補助化学療法を受けられることを推奨します。

ジェムザール=一般名ゲムシタビン シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ パラプラチン=一般名カルボプラチン

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