バドセブ以外の治療法は

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2022年8月
更新:2022年8月

  

浸潤性腎盂がんステージ4で、ジェムザールとシスプラチンのGC療法後、キイトルーダを使用。昨年末からパドセブへ変更になり、すぐ頸部リンパ節が縮小しましたが、今年の3月ころからまた増大してきています。体調は悪くありませんが、このままこの治療を続けていくことに不安があります。他の治療法はあるのでしょうか。

(62歳 男性 岡山県)

GC療法かキイトルーダに再チャレンジも選択肢に

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

相談者は、本邦の保険診療で使用できる、進行尿路上皮がんに対する有効性が確立されている薬剤がこれまで順次的に使われてきています。パドセブ(一般名エンホルツマブベドチン)で腫瘍が増大傾向を示す場合、有効性が確立された次の治療薬がないため、新規治療薬であれば治験を検討することになるかと思います。ただし、治験は参加条件が明確に規定されているので、治験実施施設に参加可能かどうかを問い合わせる必要があります。

また、がん遺伝子パネル検査の実施も選択肢になると思います。がん遺伝子パネル検査は、指定医療機関(がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院)で保険診療として実施可能です。相談者が腎盂がんの摘出手術を受けていれば、摘出がん組織を用いて、また摘出組織がない場合は血液中のがん由来のDNAを用いて行われます。

がん遺伝子パネル検査の結果によっては、他のがん腫に対して用いられている薬剤の有効性を期待できる場合があり、その場合は保険診療外で治療を受けることが可能です。主治医と相談されることをお奨めします。

通常キイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)は、GC療法が無効と判断された場合に使用されます。しかしながら、過去にGC療法で一旦腫瘍の縮小が認められた場合、もう一度GC療法をチャレンジしてみることも選択肢の1つになるかもしれません。同様に、キイトルーダの再チャレンジも選択肢となるかもしれません。

パドセブで大部分の病巣の縮小が維持されており、頸部リンパ節を含めたごく一部の病巣のみが増大している場合は、増大病変に対する放射線治療なども選択の余地があると思います。

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