キイトルーダの投与が中止になったが

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2021年12月
更新:2021年12月

  

2019年12月に血尿が出たため病院を受診。しばらく様子を見るようにと言われました。2020年3月にリンパ節への転移が1つ見つかり、ステージⅣの腎盂(じんう)がんと診断されました。大学病院に転院後、肝臓への転移も見つかりGC療法を受けましたが、効果がありませんでした。

その後、免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダの投与を受けました。肝転移は縮小しましたが、逆にリンパ節転移の大きさが、1㎝から2㎝に大きくなったため、キイトルーダの投与も中止になりました。主治医からは、いま使える3種類の抗がん薬は期待できないと言われました。今後の治療法はあるのでしょうか。

(65歳 男性 千葉県)

2つの可能性について主治医と相談を

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

転移のある尿路上皮がんでプラチナ製剤を含む化学療法(GC療法)と免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)の治療後の病勢進行に対し、本邦で新たにパドセブ(一般名エンホルツマブ ベドチン/EV)が、2021年9月に保険承認されました。保険承認の根拠となった臨床試験では、上述の病状に対し、抗がん薬を投与されたグループと比較して、パドセブを投与されたグループで病勢進行のリスクが約4割減少し、有効性が報告されました。2021年末から使用可能になる見込みです。

また、2種類の標準治療を受けた相談者の場合、血液を用いたがん遺伝子パネル検査を行い、ある特定の遺伝子変異が見つかれば、治験を含む保険診療外の治療を受けることも可能です。がん遺伝子パネル検査を実施できる医療機関は、厚生労働省に指定されたがんゲノム医療中核拠点病院、同拠点病院、同連携病院に限定されています。相談者がおかかりの医療機関がこれらの指定医療機関でない場合は、主治医から指定医療機関への紹介が必要になります。

これら2つの可能性について主治医に相談してみて下さい。

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