主治医からキイトルーダの投与を勧められたが

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2024年10月
更新:2024年10月

  

昨年(2023年)11月に、左腎臓を全摘する手術を受けました。病理検査の結果、進展度(TNM分類)では横隔膜より上の下大静脈内にがんが広がっている「T3c」、リンパ節転移のない「N0」遠隔転移のない「M0」で、ステージⅢでした。術後、主治医からキイトルーダの投与を勧められましたが、再発のリスクは減るのでしょうか。また副作用については如何でしょうか。

(61歳 男性 東京都)

再発リスクと副作用のバランスを考慮して

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

根治的腎摘除後の再発リスクが高い腎がんの患者さんにおいて、術後に免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)を1年間投与すると、再発リスクが約30%低下することが臨床試験で示されています。本邦でも保険診療で標準治療として行われています。

T3cの腎がんは再発リスクが高いグループに分類されるため、相談者はキイトルーダの適応がある病状です。T3c腎がんの術後再発リスクは25%以上ですが、腫瘍の大きさや病理学的悪性度などで具体的な再発確率を見積もることが可能です。

一方で無視できない副作用もあるため、再発リスクと副作用のバランスを考えて意思決定をすることになります。キイトルーダは免疫療法なので、免疫細胞ががん細胞以外の自身の細胞を攻撃することによる副作用が出ます。

出やすい症状は皮膚のかゆみ、下痢、甲状腺機能異常などで、約2割の患者さんが治療中止や免疫関連副作用を抑えるためのステロイド治療を必要とする副作用を経験します。主治医に具体的な再発リスクを確認した上で、意思決定されることをお奨めします。

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