右腎臓・尿管摘出したが、反対側のがんが心配

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2020年12月
更新:2020年12月

  

2018年2月に血尿が出て受診。診断の結果、膀胱がんと診断され入院。TUR-BT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)を2回受けました。その後、2019年5月の尿細胞診の結果クラスⅢ(擬陽性)、8月の尿細胞診の結果ではクラスⅤと診断。9月に再入院して、膀胱・前立腺の生検と左右尿管の尿細胞診を行う。右尿管検体から尿細胞診の結果がクラスⅤで、右腎盂(じんう)・尿管がんと診断され、10月に3度目の入院をして右腎臓と尿管の全摘手術を受けました。

そこでご相談ですが、右腎臓を摘出しているので、左腎臓・尿管にがんが発生することが心配です。その可能性は如何なものでしょうか。

(58歳 男性 東京都)

発生リスクは5~10%程度 定期検診の継続を

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

尿の通り道(尿路)である腎盂、尿管、膀胱、尿道は尿路上皮という同じ種類の粘膜で覆われています。膀胱がんや腎盂・尿管がんはこの尿路上皮細胞ががん化して起こる病気です。発生臓器は違いますが、ほとんどの場合、尿路上皮がんという同じ種類のがん細胞で構成されています。尿路上皮がんは、尿路の異なる部位に異なるタイミングで発生する特徴があるので注意が必要です。

ご相談者の場合、膀胱、右腎盂・尿管の順にがんが診断されており、ご心配されている左腎盂・尿管がん発生のリスクは5~10%程度と推定されます。膀胱がん再発のチェックも含め、今後も外来で定期的に検診を継続していくことが大切です。

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