大丈夫と言うだけの主治医で大丈夫か

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2023年8月
更新:2023年8月

  

3年前に左腎臓に10㎝の腫瘍が見つかり、腹腔鏡手術で全摘しました。1年前に肺に米粒大の点がCT撮影で見つかりましたが、主治医は問題ないと言います。現在、1年に1度の経過観察中ですが、腹部内の違和感や傷口の痛みを訴えても異常なし、と言うばかり。最近は非常に疲れやすく、通勤するのも大変です。主治医に現在の痛みなどを訴えても、大丈夫というだけの主治医で大丈夫でしょうか。

(58歳 男性 埼玉県)

主治医に大丈夫と考える根拠を尋ねてみる

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

腎がんの術後経過観察中に肺に影が現れた場合、1cm未満と小さくて転移なのか炎症なのか判然としない場合、通常は時間を空けてCTを撮影して経時的な変化を見ます。影が大きくなる、または数が増える場合は転移の可能性を考え、変化がない、あるいは小さくなる場合は炎症など転移以外の可能性を考えます。

腹部症状は、3年前に相談者が受けた腹腔鏡手術の影響である可能性はあると思います。お腹に傷がある場合は、腹膜を経由して手術が行われた可能性が高く、その場合は低いながらもある一定の頻度で腹腔内の癒着による腹部症状が出現します。強い痛みや嘔吐などの腸閉塞の症状がない限り、経過をみることになります。腹部症状について、主治医が大丈夫と考える根拠を聞いてみると、相談者も安心できるのかも知れません。恐らく、CT検査で腸閉塞や局所再発などの所見がないためではないかと推測します。

通勤に困難を伴う疲労感についても、血液データで異常がないかどうかを聞いてみるのが良いと思います。腎がん以外の疾患による症状である可能性を考える必要があるかもしれません。

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