エコーで腫瘍が確認できない。ラジオ波焼灼術による治療は難しいか
母(68歳)が肝細胞がんで、3年前に2㎝ほどのがんが見つかり、外科手術で切除しましたが、昨年(2015年)11月に再発が見つかりました(大きさは1㎝ほどのものと、それより小さいものの計2つ)。1㎝大の腫瘍については、肝機能が悪く、肝不全を招く恐れがあり、今回はラジオ波焼灼術で治療をしました。残りの腫瘍については、CTやMRIでは確認できるのですが、エコー(超音波画像診断装置)で見ることができないため、ラジオ波焼灼術では治療できないと言われています。やはりエコーで確認できないと、ラジオ波による治療は難しいのでしょうか。
(39歳 女性 静岡県)
A 技術的には可能。ただし、経過観察をして様子を見るのも手
小池幸宏さん
基本的にラジオ波焼灼術は、エコーで腫瘍の位置を確認しながら治療を行うので、エコーで確認できないと、通常治療はできません。ただし、いくつか方法はあります。
まず1つ目が、通常のエコーで腫瘍が見えない場合でも、造影剤を用いることで、腫瘍が確認できるようになることがあります。2つ目は、CTやMRI画像を超音波画像診断装置と同期させる医療機器があるので、そういった機器を利用することです。この機器を用いると、CTで写っている腫瘍は、エコー画像ではこの辺りにあるということを示してくれるので、腫瘍の位置を確認することができます。
3つ目は、それでも腫瘍の位置がはっきりと確認できない場合、肝臓には動脈や門脈などの血管や胆管などが通っているので、それらを目印として腫瘍の位置を把握する方法です。例えば、CTやMRI画像で確認されている腫瘍近くに血管が通っている場合には、まずその血管をエコーで見つけて、そことの位置関係で腫瘍の場所を把握して治療する方法もあります。
ただ、もし肝機能が進行していて、腫瘍の大きさも1㎝より小さいことを考えると、経過観察をするというのも1つの考え方かもしれません。危険を冒して微小な腫瘍を治療するよりは、少し時間を置いて、しっかりと確認できるようになってから治療しても良く、また頻回に検査をしながら見ていけば、その間にがんが急速に大きくなることも考えられません。技術的にラジオ波焼灼術による治療が絶対にできないというわけではないので、いくつか試してみる価値はあると思いますが、少し様子を見るような対応でも良いかと思います。