標準治療を受けてないと遺伝子検査は受けられないと言われたが
神奈川県に住む60代の父のことでご相談です。PET検査では病名が判明せず、胸腔鏡検査のため入院しました。その結果は他臓器への転移のある肺がんで、ステージⅣとの診断でした。今は、肺に開けた穴が塞がらず入院中ですが、がんの詳しい検査結果の説明もない状態です。そこでご相談ですが、ゲノム検査を受けたうえで、治療を開始するほうが効率がよいと思うのですが、標準治療を受けてないとこの検査は受けられないと言われました。それは何故なのでしょうか。病院では、説明と同時に治療方針を決められてしまうのではないかと、不安です。
(45歳 女性 東京都)
A 保険で使える薬がある場合は治療前に必ず遺伝子検査を行なう
呼吸器内科学分野教授の久保田さん
組織型にもよりますが、保険診療で使える薬に関しては、治療前に必ず遺伝子検査を行ないます。がんの組織が十分にあれば、オンコマインという46個の遺伝子を検査するがん遺伝子パネル検査に提出可能です。現在、肺がんに対して、保険診療で使える分子標的薬の対象となる遺伝子異常のほとんどがこの検査でわかります。がんの組織が十分でない場合は、遺伝子異常の頻度の高い順に遺伝子を検査することになると思います。
ご質問者が言われている「標準治療を受けていないと受けられない」遺伝子検査とは、「NCCオンコパネル」や「ファンデーション・ワン」と呼ばれる100~300個の遺伝子を調べる遺伝子パネル検査のことでしょう。
これらは、がんゲノムプロファイリング機能、すなわち保険診療以外にも治験中の薬剤の検討などを行うものです。ゲノム医療中核拠点病院、連携病院などでしか提出することはできません。また、結果についてはエキスパート・パネル(専門家による会議)での検討が必要です。
担当医からの治療方針に関する説明を受けた上で、納得できない場合はセカンドオピニオンもご検討ください。