手術以外の治療法はないのか
2017年にCT検査で左肺に16㎜のすりガラス状の陰影が1つ見つかりました。2021年3月のCT検査の結果、「陰影が21㎜になっている」と告げられ、手術を勧められました。手術には抵抗感があり手術以外の治療法はないのかご相談いたします。
(71歳 女性 群馬県)
A 体に負担の少ない治療法もある
日本医科大学大学院医学研究科
呼吸器内科学分野教授の久保田さん
呼吸器内科学分野教授の久保田さん
4年の間に大きくなっているようですので、治療を考える必要があると思います。ご心配なさっているとおり、手術は身体への負担が大きいですから、それ以外の治療法を希望なさるのはごもっともです。
身体への負担が少ない治療法としては、「光線力学療法」(photodynamic therapy:PDT)があります。この治療法は、まず患者さんに光感受性物質を注射します。この物質は身体の細胞に入りますが、一定の時間が経つとがん細胞に残り、正常の細胞では減少します。この時点で弱いレーザー光線を照射すると、がん細胞に含まれる光感受性物質が変化して、がん細胞を死滅させるのです。周囲の正常細胞はあまり影響を受けません。
この治療法は、「肺門部早期肺がん」に適応があり、健康保険での治療を受けることができます。ご相談者はCTでわかる病変ですので、末梢型となり、現在、保険での治療を受けることはできません。
日本医科大学付属病院呼吸器外科では、末梢型肺がんに対する光線力学療法の医師主導治験を行っています。担当医にお話しして、ご紹介頂ければと思います。
上記以外では「定位放射線治療」などがありますが、間質性肺炎など、副作用として肺の障害が問題になります。