切除せず良性か悪性か判断できないか
2024年1月に人間ドックの胸部X線検査で、左肺の陰影を指摘されました。総合病院でのCT検査で左肺に1㎝の影と点状のものが無数認められ、「肺がんまたは肺線維症の疑いがある」と説明されました。腫瘍マーカー、肺機能検査ともに異常なしで、肺がん以外の可能性もあるとのことでした。2月に別の病院でPET検査の結果、肺に淡い光のようなものが確認されました。主治医から緊急性はないが、胸腔鏡手術で小結節を一部切除し、病理検査を行なうように提案されました。手術するのが怖いので、切除せず良性か悪性か判断できる検査はないのでしょうか。
(51歳 女性 東京都)
A 判断する方法はあるが
日本医科大学呼吸ケアクリニック
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
良性か悪性かはっきりさせるためには、小結節および肺を一部採取(生検)して、病理検査を行う必要があります。切除せずに良性か悪性か判断する方法には、気管支鏡を用いた生検、またはCT画像を見ながら針でその部位を刺して組織を採取する方法(CTガイド下経皮肺針生検)があります。これらの方法は手術に比べれば負担は軽減されます。
しかし、CTガイド下経皮肺針生検では気胸や血痰、喀血が、気管支鏡下生検でも喀血の危険性があります。また、これらの方法で診断できる確率は6~7割程度です。すなわち、その結節が肺がんであった場合でも、がんと診断できない場合もあるのです。
CTの画像検査でどの程度肺がんが疑われるか、結節の部位、気管支との関連などをもとに検査や治療を考えることが必要です。肺がんの可能性が極めて高い場合は、診断と治療を同時に行う目的で外科的切除が勧められることがあります。