UFTの副作用がつらい。替わる薬はあるか
肺腺がんと診断されました。原発巣は約5㎝、リンパ節転移はなく、ステージⅠ(I)Bで手術を受けました。術後*UFTを服用し始めたのですが、吐き気と食欲不振が続いています。2年間服用したほうがよいと言われていますが、UFTに替わる薬はないのでしょうか。
(55歳 男性 群馬県)
A 半年から1年間の服用を目指しては
日本医科大学付属病院がん診療
センター長の久保田 馨さん
センター長の久保田 馨さん
ステージⅠ(I)の肺腺がん患者が術後にUFTを内服すると、しない場合に比べて有意な延命効果を示したという臨床試験結果があります。このことから、術後Ⅰ(I)B期ではUFTの服用が推奨されています。
ただし、服用の期間については、肺がんでは十分な検討は行われていません。2年間服用した臨床試験もありますが、1年間の服用で良い成績を示した試験もあります。Ⅱ(II)B/Ⅲ(III)期の大腸がんでは、UFT+*ロイコボリンを用いた術後補助化学療法を6カ月間行う場合と18カ月続ける場合とをランダムに割り付けて比較した試験があります。この試験では6カ月と18カ月で、有効性(生存期間)に差を認めませんでした。
副作用がつらいのでしたら、半年から1年を目標にして続けてみてはどうでしょうか。一般的な制吐薬を使っても効果がない場合は、吐き気に効果が示されている抗精神薬などを試されても良いと思います。
ほかの抗がん薬については、Ⅱ(II)期、Ⅲ(III)期の術後補助化学療法では、*シスプラチンを含む2種類の抗がん薬を使うことが一般的ですが、Ⅰ(I)期では明らかな有効性は示されていません。また、UFTよりも吐き気や食欲不振などの副作用が強く現れることが多く、お勧めできません。
*UFT=一般名テガフール・ウラシル *ロイコボリン=一般名ホリナートカルシウム *シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ