イレッサからタグリッソに変更されたが
2017年、腰痛治療のX線検査で異常が見つかりました。精密検査の結果、肺がんの骨転移でステージⅣと診断されました。イレッサを5年間投与されたのですが、効果がなくなりタグリッソに変更になりました。これは適切な治療なのでしょうか。また今後の治療はどうすればいいのでしょうか。
(78歳 女性 栃木県)
A タグリッソ変更は適切な処置
日本医科大学呼吸ケアクリニック
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
イレッサ(一般名ゲフィチニブ)で治療を開始されたということは、ご相談者の肺がんはEGFR変異陽性の非小細胞肺がんということになります。EGFR陽性肺がんに対しては、現在はタグリッソ(一般名オシメルチニブ)を初回から開始することが推奨されますが、2017年当時はタグリッソ初回治療での適応がなく、イレッサでの治療は適切でした。
イレッサを5年間投与されたとは、相当長く効果が持続したということになります。イレッサ投与中に効果がなくなった場合は、腫瘍の遺伝子検査を再度行い、T790Mという遺伝子変異があればタグリッソの適応になります。ご相談者の肺がんにはタグリッソが最も効果が高い薬剤ですので、今後は副作用に対処しながら、なるべく長く継続するのがよいでしょう。骨転移に対してはゾレドロン酸(一般名)またはランマーク(一般名デノスマブ)が推奨されます。
顎骨壊死という副作用がまれにおこりますので、定期的な歯科受診ならびに毎日の口腔ケアを行ってください。その他、バランスのとれた食事、適度な運動、質の高い睡眠など健康な生活を心がけてください。