免疫チェックポイント阻害薬の使用は避けたほうがいいか
肺腺がんステージⅣの患者です。タグリッソを使用していましたが、耐性が出てきました。自己免疫疾患を持つ場合は、免疫チェックポイント阻害薬の使用は避けたほうがいいのでしょうか。
(62歳 男性 静岡県)
A 使用は避けるのが賢明
日本医科大学呼吸ケアクリニック
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
タグリッソ(一般名オシメルチニブ)を使用されていたということは、ご相談者の肺腺がんはEGFR遺伝子変異陽性ということになります。EGFR陽性肺腺がんに対しては、免疫チェックポイント阻害薬の有効性は明確ではありません。
免疫チェックポイント阻害薬単独での有効性も低いのですが、化学療法(いわゆる抗がん薬)との併用や、化学療法+アバスチン(同ぺバシズマブ)との併用においてもその意義は不明です。リスクと効果のバランスを考えると、自己免疫疾患をお持ちの場合は、使用は避けるのが賢明だと思います。
タグリッソに耐性が出てきた場合の免疫チェックポイント阻害薬以外の選択肢ですが、シスプラチン(一般名)+アリムタ(同ペメトレキセド)などの化学療法が考えられます。これを使用しても効果が出ない、または耐性が出現した場合には、EGFR阻害薬第2世代のジオトリフ(同アファチニブ)の使用も考えられます。
現在、アミバンタマブ(一般名)+ラゼルチニブ(一般名)併用療法、アミバンタマブ+化学療法など承認申請中の新薬もあります。また、さまざまな治療法を受けた後に、タグリッソの再使用を考えてもいいかもしれません。