経過観察とのことだが、何も治療しなくていいのか

回答者●久保田 馨
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野教授
発行:2021年11月
更新:2021年11月

  

2021年5月に定期健診でCT撮影の結果、肺がんの疑いがあるとのことで、がん専門病院で詳しい検査してもらいました。その結果、右肺に8㎜の腺がんが2カ所、左肺に小さいのが3カ所あり、肺腺がんステージⅠの診断を受けました。来年の2022年1月まで経過観察とのことで、1月に改めてCT検査をするとのことでした。経過観察とのことですが、このまま何も治療しなくて大丈夫なのでしょうか。がんの進行を遅らせる方法はないのでしょうか。がんが進行していかないかと心配でなりません。

(66歳 女性 茨城県)

あくまで疑いで確定診断ではない

日本医科大学大学院医学研究科
呼吸器内科学分野教授の久保田さん

肺がんと診断されて、経過観察と言われたら心配するのはごもっともなことです。しかし、肺がんかどうかの確定には病理診断が必要になります。右肺に8㎜の肺がんを疑う影があるとのことですが、腺がんと診断されたということは、おそらく淡い陰影なのでしょう。この大きさでは小さ過ぎて病理診断は困難です。ですから今回の診断はあくまで疑いであって確定診断ではないと考えます。がん以外の前がん病変、炎症性の変化などの可能性もあるでしょう。

また、淡い陰影の小さな腺がんは大きくなる速さが遅く、経過観察でも大丈夫だろうと考えられています。淡い部分の全体が2cmを超えるか、充実性の部分の長さが全体の1/4を超えるようだと手術が勧められます。

「がんの進行を遅らせる方法」ですが、禁煙、受動喫煙を避ける、適度の運動、質の高い睡眠、バランスの取れた食事、生活をお勧めします。今回の診断は大きなストレスだと思います。ストレスに対しては、「ストレスは悪いもの」と考えず、「人生からのチャレンジ」とお考えください。

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