遺伝子検査はしないのか

回答者●久保田 馨
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野教授/日本医科大学呼吸ケアクリニック
発行:2022年7月
更新:2022年7月

  

肺腺がんステージIBで、切除手術を受けました。術後補助療法はUFTと言われました。このタイミングでは遺伝子検査はしないものでしょうか。また、分子標的薬は使用しないのでしょうか。

(68歳 男性 静岡県)

IB期であれば、UFTを推奨

日本医科大学大学院医学研究科
呼吸器内科学分野教授の久保田さん

EGFR陽性の扁平上皮がん以外の非小細胞肺がん(ほとんどが腺がん)で、手術後ステージIBからⅢA期(日本ではⅡAからⅢA期)までの患者さんを対象に、タグリッソ(一般名オシメルチニブ)術後補助療法3年間服用有り無しのランダム化臨床試験が行われました。今のところ、肺がんの再発までの期間が、かなり延びたと報告されています。

しかし、全生存期間が延長したかについてのデータはまだ出ていません。日本では術後補助療法としてのタグリッソの申請中ですが、2022年6月の時点ではまだ承認されてはいません。ですから遺伝子検査を行って、EGFR陽性と診断されてもタグリッソは保険診療では使えないので、遺伝子検査も行われません。保険診療外で行うと、タグリッソの薬代だけで、2,268万円くらいかかります。その他の検査費用も全て自費になります。

IB期であれば、全生存期間の延長が証明されているUFT(一般名テガフール・ウラシル)が勧められます。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート12月 掲載記事更新!