PSA値上昇時の治療法は?

回答者・古賀文隆
都立駒込病院泌尿器科医長
発行:2013年9月
更新:2015年2月

  

前立腺がんと診断され、切除手術を受けました。リンパ節転移が2カ所あり、リンパ節郭清も同時に行いました。現在は、カソデックスとリュープリンを服用していて、PSA値は0.1ほどです。今後、PSA値が上がり出した場合の治療法はどのようなものが考えられるでしょうか。

(宮城県 男性 65歳)

A ホルモン薬で対応。新薬にも期待

ホルモン療法を補助的にしている状態でPSA値がある程度は抑えられていますが、完全には抑えられていません。今後、数値が上がり出したときの状態は、去勢抵抗性前立腺がんと判断できます。

ひとつには、カソデックスがPSA値を上げる原因になっている可能性があります。カソデックスは男性ホルモンががん細胞の成長を促すのをブロックする薬(抗アンドロゲン剤)ですが、逆にがん細胞の“エサ”と誤認されるようなケースが3割ほどあります。カソデックスをやめることでPSA値が下がることがあります。抗アンドロゲン剤除去症候群といいます。

さらにPSA値が上昇を示せば、別の抗アンドロゲン剤を重ねていきます。2次ホルモン療法としてはオダインや女性ホルモン製剤に変更します。それでも効き目がなく転移がある場合は、タキソテールという抗がん薬の点滴を行います。

併せて副腎皮質ホルモンを用いることも考えますが、飲み続けなければいけないこと、全身的副作用の可能性があることなど患者さんのQOL(生活の質)を下げる原因にもなりえます。

米国ではアビラテロンやMDV3100といった新しいホルモン薬が認可されつつあり、これらの薬剤は今後日本でも使われるようになると思われます。

カソデックス=一般名ビカルタミド リュープリン=一般名リューブロレリン オダイン=一般名フルタミド タキソテール=一般名ドセタキセル

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