ランマーク治療中だが、歯の神経を抜く治療は問題ないか
主人(69歳)が前立腺がんの骨転移で、現在*ランマークの治療を受けています。先月治療を開始したばかりですが、その矢先に前歯が大きく欠けて、慌てて歯科医院に行ったところ、歯の神経を抜いて治療をする必要があると言われました。ランマークの副作用で顎骨壊死の可能性があるので抜歯はしないほうがいいことは知っていますが、神経を抜くことはどうなのかはわかりません。ランマーク治療を継続したまま、神経を抜く治療を行っても差し支えないのでしょうか。
(67歳 女性 神奈川県)
A 問題ない。安心して治療を受けることを勧める
国立がん研究センター中央病院
歯科医長の上野尚雄さん
歯科医長の上野尚雄さん
ご相談者が言われるように、ランマーク治療中に抜歯を行うと、顎の骨が壊死を起こす大きな副作用(薬剤関連顎骨壊死)の発症の引き金となる可能性があると言われています。ただ、現時点の研究では、局所麻酔をして歯の神経を抜くことや(抜髄)、歯を削って虫歯を詰めるなどの一般的な歯科治療は、顎骨壊死を引き起こすリスクは低いと報告されています。
歯科治療をせずに問題のある歯を放置することで、歯を抜かざるを得ない状況になってしまうほうが顎骨壊死の大きなリスクとなってしまいます。そうなると本末転倒ですので、ぜひ今のうちに歯の治療を受けて下さい。
現時点では、ランマーク使用中に①歯を抜くこと、②合わない入れ歯を使い続け粘膜に傷を作ること――この2点が、顎骨壊死の強いリスク因子と言われています。歯が1本もなくても、入れ歯を使用されている方は、定期的な歯科のチェックを推奨します。
もし歯科治療を進めていく上で、抜歯が避けられなくなった場合には、必ずがん治療医に相談した上で行って下さい。
*ランマーク=一般名デノスマブ