経過観察を提案されたが、治療の介入はいつ?

回答者・古賀文隆
都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2016年7月
更新:2016年6月

  

51歳の夫は尿が出にくいと訴え、検査を受けたところPSA(前立腺特異抗原)値が高く、生検で10カ所中4カ所にがんがあるとの診断を受けました。しかし、「がんの大きさもごくわずかだし、悪性度も低いのでしばらく経過観察をして、1年から半年かけて治療をしていきましょう」と言われました。夫婦で子どもが欲しいと願っているのですが、それを待っているとがんが進行しそうで心配です。どのような状態になったら治療を開始するのでしょうか。子どもは望めますか。

(35歳 女性 東京都)

病状の進行は緩徐なので、家族計画を優先させるべき

都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

ご相談者のご主人は、限局がんの中でもおそらく低リスク(PSA<10、GS3+3、cT1c or 2a)ないし中間リスク(GS3+4など)の前立腺がんだと思われます。この場合、一般的に進行はゆっくりですから、治療を急ぐ必要はありません。それよりも夫婦にとって大切な家族計画を優先させるべきだと思います。

お子さんができるまでは治療を待つことになりますが、待機期間中は定期的なPSA測定(3~4カ月に1回)、MRI(年1回)によって、がんの状態の変化をチェックします。PSAの急上昇など病状の悪化を認めれば、その時点でご夫婦と医師でよく相談し、治療介入するか、あるいは再生検で病理組織学的にがんの再評価を行うかを決めます。

病状の進行を認めず、お子さんが誕生したら、患者さんにとって都合の良い時期に本人が納得のいく根治的治療法(手術療法または放射線治療)を選択することをお勧めします。

なお、前立腺がんの切除手術をすると自然な妊娠はできませんが、精巣から精子を採取して人工受精をすれば、妊娠の可能性はあります。

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